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渡邉暢浩
「医療・介護・福祉・地域」事業
「大河の一滴」
最近、五木寛之の本を読んでいます。
今までの私は、“陽”の本を好んで読んでいました。前へ前へというような考え方が好きで、いつも前を向きながら
人生を生きてきたように思います。私が生まれたのは、昭和33年5月。東京タワーが建ち、長嶋が巨人に入団し、
日本全体が国として亡くなるかもしれないというどん底から強烈なエネルギーを持ちながら未来をつくろうとして
いた時代。“陽”へ“陽”へと進んで来た時代。そんな時代に生まれ育った世代にとって、“陰”についてあまり思いたく
もなく思索しようともしなかったと思います。
しかし、陰があって初めて陽があり、光があることを、最近思います。
そのことを自分の人生から絞り出すように著してくれているのが、五木寛之氏だと思います。
「大河の一滴」に出会ったのは、近くの私立図書館でたまたま借りた映画のDVD「大河の一滴」。
それは小説を映画化したものではなく、「大河の一滴」に書かれた心の情景を物語にしたもの。
「大河の一滴」「他力」「人生の目的」。この三部作は、五木寛之の晩年の思索の集大成ともいうべき
もの。是非、一度読んでいただきたいと思います。
自分の人生を昭和と平成で半々生きてきて、令和となった。若い世代がこれからどう生きていく時代と
なるのか。そのことを最近よく思い考えます。
私の次男も何か人生に悩んでいるようです。それもよし。今あなたがいるのは陰。根っこを育てている
時間だと思う。いつか必ず、土から芽をいぶき、太陽の光を浴びる時が来る。
五木寛之は「人生の目的」の中で、“人生に目的は無い”と書いています。しかし、“人生に目的があると
したら、人生の目的を探すために生きてゆくこと”と書いています。生きることこそが生きる目的だと思います。
その中にこそ、何かが見つかり、何かが生まれる。
仕事の目的も、仕事を続けることだと思う。